英検準2級ライティング完全攻略ガイド:2024年度新形式対応版
英検準2級ライティング完全攻略ガイド:2024年度新形式対応版
1. はじめに
英検準2級は、高校中級程度の英語力が求められる試験であり、多くの高校生や英語学習者が目標とする資格の一つです。特に、ライティングセクションは、スピーキングと並んでアウトプット能力が直接問われるため、合否を分ける重要な要素となります。語彙や文法の知識を正しく運用し、論理的な文章を構築するスキルは、大学入試や将来のキャリアにおいても非常に役立ちます。
2024年度から、英検は学習指導要領の改訂に伴い、より実践的なコミュニケーション能力を測るため、問題形式をリニューアルしました。準2級においても、従来の意見論述問題に加えて、新たに「Eメール問題」が導入され、ライティングの重要性が一層高まっています。この変更は、単に問題が増えただけでなく、より多様な文脈で英語を運用する能力が求められるようになったことを意味します。
本記事では、この新しい試験形式に対応するため、英検準2級ライティングの徹底的な対策法を、事実に基づいて包括的に解説します。試験の形式と傾向、新旧形式の違い、効果的な時間配分、具体的な学習計画、さらにはChatGPTなどの生成AIを活用した添削方法まで、合格に必要な情報を網羅的に提供します。テンプレートや実践的なフレーズ集も活用し、自信を持って本番に臨めるよう、万全の準備を整えましょう。
2. 試験形式と傾向
2024年度からのリニューアルにより、英検準2級のライティング試験は、従来の「意見論述問題」1題から、「意見論述問題」と「Eメール問題」の2題構成へと変更されました。これにより、受験者は異なるタイプのライティングスキルを同時に示す必要があります。
2.1 意見論述問題
従来から出題されている形式で、ある質問(QUESTION)に対して、自分の意見とその理由を2つ、50〜60語程度の英語で記述する問題です。身近な社会的なトピックがテーマとなることが多く、論理的な思考力と表現力が問われます。
評価の観点:
•内容: 課題で求められている内容(意見と理由2つ)が含まれているか。
•構成: 英文の構成や流れが分かりやすく論理的か。
•語彙: 課題に相応しい語彙を正しく使えているか。
•文法: 文法的に正しい多様な構文を使えているか。
出題傾向: 過去には、「学校で生徒がボランティア活動をすべきか」「生徒がもっと多くの本を読むべきか」といった、教育や社会生活に関連するテーマが多く出題されています。自分の考えを明確にし、それを支える具体的な理由を2つ挙げることが求められます。
2.2 Eメール問題
新形式として導入されたのが、Eメールの返信を作成する問題です。提示されたEメールを読み、その内容に沿った返信を40〜50語程度で作成します。相手の質問に答えるだけでなく、こちらからも質問を2つするという、より実践的なコミュニケーション能力が試されます。
評価の観点:
•内容: 相手のEメールの内容を理解し、返信文に求められる要素(質問への回答、こちらからの質問2つ)を全て含んでいるか。
•語彙: 課題に相応しい語彙を正しく使えているか。
•文法: 文法的に正しい多様な構文を使えているか。
出題傾向:
友人や知人からのEメールを想定した、日常的なやり取りがテーマとなります。例えば、週末の予定、趣味、学校生活など、プライベートな内容が中心です。形式的なビジネスメールとは異なり、親しみやすい表現が求められますが、基本的なEメールのマナーは押さえておく必要があります。
この2つの問題形式に対応するためには、それぞれの特性を理解し、異なるアプローチで対策を進めることが不可欠です。意見論述では論理構成力、Eメール問題では対話的なコミュニケーション能力が特に重要となります。
3. 以前の形式と新形式の違い
2024年度のリニューアルは、英検準2級のライティング試験に大きな変化をもたらしました。その違いを正確に理解することは、効果的な対策を立てる上で不可欠です。
主な変更点:
項目 | 2023年度以前 | 2024年度以降 |
問題数 | 1題(意見論述問題) | 2題(意見論述問題 + Eメール問題) |
総語数目安 | 50~60語 | 90~110語(意見論述50~60語 + Eメール40~50語) |
試験時間 | 75分 | 80分 |
詳細な解説:
•問題数の増加: 最大の変更点は、ライティングの問題が1題から2題に増えたことです。これにより、ライティングセクションが試験全体に占める比重が大きくなりました。単に書く量が増えただけでなく、異なる種類のタスク(意見論述とEメール)に対応する柔軟性が求められます。
•総語数の増加: 問題数の増加に伴い、記述すべき総語数の目安も約2倍になりました。時間内に必要な語数を満たし、かつ質の高い文章を作成するトレーニングがより重要になります。
•試験時間の延長: ライティングの負担増を考慮し、試験時間は75分から80分へと5分間延長されました。しかし、問題数が倍増していることを考えると、時間的な余裕は決して大きくありません。むしろ、より効率的な時間管理が求められるようになったと言えるでしょう。
この変更から、英検協会が「実際に使える英語力」をより重視する姿勢に転換したことが明確に読み取れます。単一のテーマで意見を述べる能力だけでなく、Eメールという具体的なコミュニケーションの場面で、適切に情報をやり取りする能力も評価対象となったのです。受験者は、これまで以上にライティング対策に時間を割き、多様な形式のライティングスキルをバランス良く養う必要があります。
4. 時間配分
試験時間が80分に延長されたとはいえ、リーディングとライティングの2つのセクションを時間内に終えるためには、戦略的な時間配分が不可欠です。特にライティングは、構成を考え、英文を書き、見直しをするという複数のステップを踏むため、時間を意識した練習が重要になります。
推奨時間配分(合計:約35分)
•意見論述問題(合計:約20分)
•構成を考える(5分): QUESTIONを正確に理解し、自分の意見と2つの理由、そしてそれぞれの理由を補強する簡単な具体例をメモします。この最初の設計が、後の執筆をスムーズにします。
•執筆(10分): メモに従い、テンプレートを活用しながら一気に書き上げます。語数を意識しつつも、まずは内容を完成させることを優先します。
•見直し(5分): 誤字脱字、文法ミス(特に三単現のs、時制、冠詞など)、語数の過不足がないかを確認します。
•Eメール問題(合計:約15分)
•内容の確認と構成(5分): 相手のEメールを正確に読み取り、求められている回答と、こちらからするべき2つの質問を考え、メモします。
•執筆(7分): Eメールの形式に沿って、メモした内容を記述します。親しみやすいトーンを意識しつつ、丁寧な言葉遣いを心がけます。
•見直し(3分): 誤字脱字や基本的な文法ミス、質問が2つ含まれているかなどを最終確認します。
全体の流れ:
1.リーディング(約40~45分): まずは得意なパートから解き進め、時間を確保します。長文問題に時間をかけすぎないよう注意が必要です。
2.ライティング(約35分): 上記の時間配分を目安に、2つの問題を集中して解きます。
3.最終確認(残りの時間): 全体の解答を見直し、マークミスがないかなどを確認します。
この時間配分はあくまで目安です。過去問や練習問題に取り組む中で、自分にとって最適なペースを見つけることが最も重要です。時間を計りながら練習を重ね、本番で焦らず実力を発揮できるように準備しましょう。
5. 対策の立て方
効果的なライティング対策は、一朝一夕には成り立ちません。基礎力の養成から実践練習まで、段階的かつ計画的に進めることが合格への鍵となります。
ステップ1:基礎固め(最初の1ヶ月)
•語彙・文法の復習: まずは、準2級レベルで求められる単語、熟語、文法事項を確実に身につけましょう。特に、ライティングで頻出する接続詞(because, so, howeverなど)や、意見を述べる際の基本構文(I think that..., It is important to...など)は、例文ごと暗記する勢いで学習します。市販の単語帳や文法書を1冊完璧に仕上げるのが理想です。
•基本文の暗唱: 質の高い英文に数多く触れることも重要です。教科書や参考書の基本例文を音読し、暗唱できるまで繰り返すことで、自然な英語の型が身につきます。
ステップ2:型を覚える(次の1ヶ月)
•テンプレートの習得: 本記事の後半で紹介する意見論述問題とEメール問題のテンプレートを徹底的に覚えます。最初はテンプレートに沿って書く練習を繰り返し、型を体に染み込ませましょう。
•模範解答の書き写し(写経): 過去問や問題集の模範解答を、一語一句正確に書き写す練習も効果的です。文の構造や自然な表現の流れを体感的に学ぶことができます。ただ書き写すだけでなく、なぜこの表現が使われているのかを考えながら取り組むと、より学習効果が高まります。
ステップ3:実践練習(試験直前まで)
•時間を計って解く: 過去問や予想問題集を使い、本番と同じ時間配分で問題を解く練習を始めます。最初は時間がかかっても構いません。徐々にスピードを上げていきましょう。
•多様なトピックに触れる: 教育、環境、テクノロジー、健康など、様々なテーマの問題に挑戦し、どんなトピックにも対応できる応用力を養います。自分の意見が思いつかない場合は、日本語でアイデアを書き出してから英語にする練習も有効です。
•添削を受ける: 自分で書いた英文は、学校の先生や塾の講師、あるいは後述する生成AIなどを活用して、積極的に添削してもらいましょう。客観的なフィードバックを得ることで、自分では気づきにくい癖や間違いを修正できます。
この3ステップを意識し、継続的に学習を進めることで、ライティングスキルは着実に向上します。焦らず、自分のペースで一歩ずつ進めていきましょう。
6. ChatGPTなどの生成AIで添削する方法
近年、ChatGPTをはじめとする生成AIの進化は目覚ましく、英語学習においても非常に強力なツールとなり得ます。特にライティングの添削においては、時間や場所を問わず、瞬時にフィードバックを得られるという大きなメリットがあります。ただし、その効果を最大限に引き出すためには、適切な使い方(プロンプトの工夫)が重要です。
効果的な添削プロンプトの例:
ただ「添削してください」と依頼するだけでは、十分なフィードバックは得られません。以下の要素をプロンプトに含めることで、より質の高い添削結果が期待できます。
あなたは英検の経験豊富な採点者です。以下の条件で、私が作成した英検準2級のライティング答案を添削・評価してください。 # 条件 - 採点基準:英検準2級のライティング採点基準(内容、構成、語彙、文法)に従ってください。 - 評価:各観点で4点満点で採点し、合計点数も示してください。 - 添削:文法的な誤りや不自然な表現を具体的に指摘し、修正案を提示してください。 - 解説:なぜそのように修正するのか、文法的な解説も加えてください。 - 改善案:より高得点を狙うために、どのような語彙や構文を使えば良いか、具体的な代替表現を複数提案してください。 # 答案 (ここに自分の書いた英文を貼り付ける)
プロンプトのポイント:
•役割を与える: 「英検の経験豊富な採点者」という役割を設定することで、AIはより専門的な視点で添削を行おうとします。
•具体的な指示: 「採点基準」「評価」「添削」「解説」「改善案」といった具体的な項目を立てて指示することで、網羅的で詳細なフィードバックを引き出すことができます。
•レベルを指定する: 「英検準2級」と明記することで、そのレベルに合った語彙や文法の範囲で評価・提案をしてくれます。
生成AI活用時の注意点:
•鵜呑みにしない: AIの添削は100%完璧ではありません。時には誤った指摘や、不自然な提案をすることもあります。あくまで学習の補助ツールとして捉え、最終的には自分で判断することが重要です。
•思考停止に陥らない: 便利なツールですが、頼りすぎると自分で考える力が養われません。まずは自力で書き上げ、自分の間違いを予測してからAIの添削を受けるなど、主体的な学習姿勢を忘れないようにしましょう。
生成AIを賢く活用することで、ライティング学習の効率は飛躍的に向上します。上記プロンプトを参考に、自分だけの「AI英語講師」を育ててみてください。
7. テンプレート
ライティングで安定して高得点を取るためには、論理的な構成の「型」となるテンプレートを身につけることが非常に効果的です。ここでは、意見論述問題とEメール問題、それぞれですぐに使える実践的なテンプレートを紹介します。
7.1 意見論述問題テンプレート
構成:
1.序論(Introduction): 自分の意見を明確に述べる。
2.本論1(Body 1): 1つ目の理由と具体例を挙げる。
3.本論2(Body 2): 2つ目の理由と具体例を挙げる。
4.結論(Conclusion): 自分の意見を再度述べて締めくくる。
テンプレート:
I think that [自分の意見].
I have two reasons for this.
First, [1つ目の理由]. For example, [具体例].
Second, [2つ目の理由]. For instance, [具体例].
For these reasons, I believe that [自分の意見].
ポイント:
•意見の表明: I think that... の部分は、問題の QUESTION に合わせて I do not think that... や I agree with the idea that... などに柔軟に変更します。
•理由の提示: First, ... Second, ... で理由を明確に分け、論理的な構成をアピールします。
•具体例の追加: 理由だけでは語数が足りない場合や、説得力を高めたい場合に For example, ... や For instance, ... を使って簡単な具体例を付け加えます。これにより、文章に深みが出ます。
•結論: 序論と同じ意見を For these reasons, ... というフレーズを使って繰り返すことで、一貫性のある文章として締めくくります。
7.2 Eメール問題テンプレート
構成:
1.挨拶: Eメールの冒頭の挨拶。
2.返信: 相手のEメールへの感謝や感想を述べる。
3.質問への回答: 相手からの質問に答える。
4.こちらからの質問: こちらから2つの質問をする。
5.結びの挨拶: Eメールの結びの言葉。
テンプレート:
Hi [相手の名前],Thanks for your email. [相手のメールへの簡単な感想].You asked me about [相手の質問内容]. Well, [質問への回答].By the way, I have two questions for you. First, [1つ目の質問]? Second, [2つ目の質問]?I'm looking forward to hearing from you.Best, [自分の名前]
ポイント:
•挨拶: Hi [相手の名前], や Hello [相手の名前], など、親しい間柄で使われる表現が適切です。
•感謝と感想: Thanks for your email. は必須です。その後に It sounds fun! や I'm happy to hear that. のように簡単な感想を一言加えると、より自然な返信になります。
•質問への回答: You asked me about... で相手の質問内容を復唱してから答えると、丁寧な印象を与えます。
•質問の提示: By the way, ... で話題を転換し、First, ...? Second, ...? の形で明確に2つの質問をします。質問は、相手のメール内容に関連したものが望ましいです。
•結び: Best, Best wishes, See you soon, などが一般的です。
これらのテンプレートはあくまで土台です。練習を重ねる中で、自分なりに使いやすい表現を加えたり、アレンジしたりして、より自然で説得力のある文章を目指しましょう。
8. 使えるフレーズ・表現集
テンプレートと合わせて、以下のようなフレーズを覚えておくと、表現の幅が広がり、よりスムーズに文章を作成することができます。カテゴリー別に整理して覚えましょう。
8.1 意見論述問題で使える表現
意見を述べるとき
•I think (that) ... (~だと思う)
•I believe (that) ... (~だと信じる)
•In my opinion, ... (私の意見では、~)
•I agree with the idea that ... (~という考えに賛成です)
•I disagree with the idea that ... (~という考えに反対です)
理由を挙げるとき
•First, ... / Second, ... (第一に、~/第二に、~)
•One reason is that ... (理由の一つは~です)
•Another reason is that ... (もう一つの理由は~です)
•Also, ... (また、~)
具体例を挙げるとき
•For example, ... (例えば、~)
•For instance, ... (例えば、~)
•... such as A and B. (AやBのような~)
結論を述べるとき
•For these reasons, ... (これらの理由から、~)
•Therefore, ... (したがって、~)
•In conclusion, ... (結論として、~)
8.2 Eメール問題で使える表現
書き出し
•Thanks for your email. (メールありがとう)
•It was great to hear from you. (連絡をもらえて嬉しいです)
•I'm sorry for the late reply. (返信が遅れてごめんなさい)
感想を述べるとき
•That sounds great! (それはいいね!)
•I'm so excited about it. (それについてとてもわくわくしています)
•I'm sorry to hear that. (それを聞いて残念です)
質問に答えるとき
•You asked me about ... (~について尋ねていましたね)
•About your question, ... (あなたの質問についてですが、~)
質問をするとき
•I have a question for you. (一つ質問があります)
•Can I ask you something? (一つ聞いてもいいですか?)
•By the way, what time should we meet? (ところで、何時に会いましょうか?)
•Also, what should I bring? (あと、何を持っていけばいいですか?)
結び
•I'm looking forward to seeing you. (会えるのを楽しみにしています)
•Let me know if you have any questions. (何か質問があれば教えてください)
•Write back soon. (またすぐに返信してね)
•Best wishes, / Cheers, / Take care, (結びの言葉)
これらのフレーズを自分の「引き出し」にストックしておき、状況に応じて自在に使いこなせるように練習しておきましょう。
9. 語彙ポイントを上げる語彙・構文
ライティングの評価項目である「語彙」と「文法」で高得点を狙うには、単に間違いをなくすだけでなく、より質の高い表現を使う意識が重要です。簡単な単語や単調な文の繰り返しを避け、表現の幅広さを示すことで、採点者に良い印象を与えることができます。
9.1 語彙力を上げるための言い換え表現
同じ単語の繰り返しは、語彙力が乏しいという印象を与えかねません。特に、good, bad, important, think といった基本的な単語は、文脈に合わせて以下のような類義語に言い換える練習をしましょう。
•good → great, nice, wonderful, excellent, beneficial (有益な)
•bad → terrible, awful, not good, harmful (有害な)
•important → necessary, essential, crucial, significant (重要な)
•think → believe, feel, consider, suppose
•many → a lot of, a number of, various (様々な)
•can → be able to, it is possible to
9.2 高得点につながる構文
中学レベルのS+V+Oのような単純な文だけでなく、以下のような少し複雑な構文を適切に使えると、文法能力の高さをアピールできます。
•不定詞の名詞的用法: It is important for students to read many books. (生徒にとって多くの本を読むことは重要です。)
•動名詞: Playing sports is good for our health. (スポーツをすることは健康に良い。)
•接続詞: I was tired, so I went to bed early. (疲れていたので、早く寝ました。) Although it was raining, we went hiking. (雨が降っていたけれども、私たちはハイキングに行きました。)
•関係代名詞: This is the book that I bought yesterday. (これは私が昨日買った本です。) The man who is standing over there is my teacher. (あそこに立っている男性は私の先生です。)
•比較級・最上級: This car is more expensive than that one. (この車はあれよりも値段が高い。) She is the most popular singer in our country. (彼女は私たちの国で最も人気のある歌手です。)
これらの構文を無理に使う必要はありませんが、自分の意見や理由を表現する際に自然に組み込めるようになると、文章のレベルが格段に上がります。模範解答などを参考に、どのような文脈でこれらの構文が使われているかを分析し、自分のライティングにも取り入れてみましょう。
10. 文法ミスの減らし方
ライティングで最も避けたいのが、ケアレスミスによる減点です。特に、基本的な文法ミスは採点者にマイナスの印象を与えてしまいます。ここでは、多くの受験者が陥りがちな文法ミスとその対策について解説します。
10.1 よくある文法ミス TOP5
1.三単現の「s」の付け忘れ: 主語が三人称・単数(he, she, it, a studentなど)で、時制が現在の場合、動詞に「s」を付け忘れるミスは非常によく見られます。
•(誤) He play soccer every day.
•(正) He play**s** soccer every day.
2.時制の不一致: 文全体で時制が統一されていないケースです。過去の話をしているのに現在形が混ざるなど、注意が必要です。
•(誤) Yesterday I **go** to the library and **studied** for three hours.
•(正) Yesterday I **went** to the library and **studied** for three hours.
3.冠詞(a, an, the)の誤り: 日本語にない概念のため、多くの学習者が苦手とします。「特定できるものにはthe」「特定できない可算名詞の単数形にはa/an」という基本ルールを徹底しましょう。
•(誤) I have **dog**.
•(正) I have **a** dog.
4.主語と動詞の不一致: 主語が複数形なのに動詞が単数形になっているなど、基本的な一致のルールが守られていないミスです。
•(誤) Many students **is** interested in foreign cultures.
•(正) Many students **are** interested in foreign cultures.
5.スペルミス: 焦って書いていると、基本的な単語のスペルを間違えることがあります。特に、because や friend, which など、頻出単語は確実に書けるようにしておきましょう。
10.2 文法ミスを防ぐためのチェックリスト
答案を書き終えた後、見直しの時間に以下の項目をセルフチェックする習慣をつけましょう。
主語は三人称単数か? 動詞に「s」は付いているか?
文全体の時制は統一されているか?
名詞に適切な冠詞(a, an, the)は付いているか?
主語と動詞の数は一致しているか?(単数形か複数形か)
頻出単語のスペルに間違いはないか?
文の終わりにピリオド(.)やクエスチョンマーク(?)を付け忘れていないか?
見直しの時間を確保し、これらの基本的なポイントを確認するだけで、ケアレスミスは大幅に減らすことができます。練習の段階から、常にこのチェックリストを意識する癖をつけましょう。
11. どれくらいの問題数で練習をすべきか?
ライティングスキルを定着させ、本番で安定したパフォーマンスを発揮するためには、ある程度の練習量をこなすことが不可欠です。しかし、やみくもに多くの問題を解けば良いというわけではありません。質を意識した練習が重要です。
練習量の目安:
•最低ライン: 過去問3回分(意見論述3問、Eメール3問)は必ず解きましょう。まずは最新の試験形式に慣れることが最優先です。
•推奨ライン: 過去問に加えて、市販の問題集を1冊(10~15セット程度)やり遂げるのが理想的です。これにより、多様なトピックに触れることができ、どんな問題が出ても対応できる応用力が身につきます。
効果的な練習の進め方:
1.最初の5セット: まずは時間を気にせず、テンプレートを使いながら丁寧に書く練習をします。模範解答と自分の解答をじっくり比較し、表現や構成の違いを分析しましょう。
2.次の5セット: 次に、本番と同じ時間配分(意見論述20分、Eメール15分)を意識して解く練習を始めます。時間を計ることで、本番のプレッシャーに慣れることができます。
3.残りのセット+過去問: 試験直前期には、時間を計って解いた後、必ず見直しの時間を設け、セルフチェックを行います。さらに、学校の先生やAIに添削を依頼し、客観的なフィードバックをもらうサイクルを確立しましょう。
「解きっぱなし」にしない: 最も重要なのは、1問1問を大切にし、「解く→自己採点→模範解答と比較→添削→書き直し」というサイクルを徹底することです。間違えた箇所や知らなかった表現をまとめる「復習ノート」を作成するのも非常に効果的です。量よりも質を重視し、1つの問題から多くのことを学び取る姿勢で練習に取り組みましょう。
12. まとめ
本記事では、2024年度からの新形式に対応した英検準2級ライティングの包括的な対策法について解説しました。最後に、合格を勝ち取るための重要ポイントを再確認します。
•新形式を理解する: 「意見論述」と「Eメール」の2題構成になったことを理解し、それぞれの特性に合わせた対策を行う。
•時間配分をマスターする: リーディングを含めた80分という試験時間の中で、ライティングに約35分を確保し、効率的に解き進める練習を積む。
•テンプレートを活用する: 論理的な構成の「型」であるテンプレートを完全にマスターし、安定して書ける土台を築く。
•表現の幅を広げる: 基本的な語彙や構文だけでなく、言い換え表現や少し高度な構文も取り入れ、表現力をアピールする。
•ミスを減らす: 見直しの習慣をつけ、三単現の「s」や時制の一致といった基本的な文法ミスをなくす。
•質を重視した練習を重ねる: 適切な量の問題を、添削と書き直しを含めたサイクルで練習し、確実に実力を定着させる。
英検準2級のライティングは、決して一朝一夕に攻略できるものではありません。しかし、正しい方法で、計画的に、そして継続的に努力すれば、必ず合格レベルに到達できます。本記事で紹介した戦略やツールを最大限に活用し、自信を持って試験に臨んでください。あなたの挑戦を心から応援しています。