英検ダブル受験のメリット・デメリット - 効率よく合格を目指す戦略とは?
「英検、次の級も挑戦したいけど、今の実力で合格できるか不安…」「確実に合格できる級と、チャレンジしたい級、どっちも受けられたらいいのに…」
英検の受験を考えている方なら、一度はこんな風に思ったことがあるのではないでしょうか。実は、英検には**「ダブル受験」**という制度があり、隣り合った2つの級を同じ日に受験することが可能です。さらに、2025年度からは制度が一部変更され、受験の選択肢がさらに広がりました。
しかし、「ダブル受験って本当にお得なの?」「自分に向いているのかな?」と疑問に思う方も多いでしょう。そこでこの記事では、英検のダブル受験について、制度の基本情報からメリット・デメリット、そしてダブル受験を成功させるための具体的な戦略まで、ファクトに基づいて徹底的に解説します。
この記事を読めば、あなたがダブル受験に挑戦すべきかどうかが明確になり、合格に向けた最適な戦略を立てられるようになります。
そもそも英検の「ダブル受験」とは?基本情報を整理
まずは、英検のダブル受験制度の基本的なルールを正確に理解しておきましょう。
ダブル受験の定義と対象となる級
英検のダブル受験とは、**「同一試験日、同一会場で、隣接(連続)する2つの級を受験すること」**を指します。2025年度に「準2級プラス」が新設されたため、現在の級の並びは以下のようになっています。
…3級 → 準2級 → 準2級プラス → 2級 → 準1級 → 1級…
これにより、ダブル受験が可能な組み合わせは以下のとおりです。
•3級と準2級
•準2級と準2級プラス
•準2級プラスと2級
•2級と準1級
•準1級と1級
重要なのは**「隣接する級」**でなければならないという点です。例えば、従来は可能だった「準2級と2級」の組み合わせは、間に準2級プラスが挟まるため、2025年度以降はダブル受験の対象外となりました。
また、原則として**「同一会場」**での受験となります。特に、**1級と準1級は本会場でのみ実施され、準会場では受験できません。**そのため、1級と準1級のダブル受験を希望する場合、必然的に本会場で両方の級を受験することになります。
従来型英検と英検S-CBTの併用も可能
近年、英検の受験形式は多様化しています。従来からあるペーパーテスト形式の「英検(従来型)」に加え、コンピュータで受験する「英検S-CBT」が登場しました。
ここで知っておきたいのが、これら2つの試験形式を併用することで、受験機会をさらに増やせるという点です。具体的には、同一検定回に、
•英検(従来型):原則1回(※重願受験の条件を満たせば同一級を2回も可能)
•英検S-CBT:3回(2025年度から拡充)
まで、同一級を受験することが可能です。従来は英検S-CBTも2回までの制限がありましたが、2025年度からは3回まで受験できるようになりました。また、従来型についても2025年度から条件を満たす場合は「重願受験」として同一級を2回受験できるようになっています。つまり、従来型のダブル受験とは少し異なりますが、短期間に同じ級に複数回チャレンジするという意味で、これも一種の「マルチ受験」戦略と言えるでしょう。特に「次の入試までに絶対に合格したい!」といった明確な目標がある場合には、非常に有効な手段となります。
【2025年度からの変更点】「重願受験」制度の導入
さらに、2025年度からは、**「重願受験」**という新しい制度が導入されました。これは、ダブル受験(隣接する2つの級を同日受験)とは別の制度で、同一検定回で同一級を2回受験できるというものです。
ただし、重願受験には厳格な条件があります:
•国内限定の制度
•本会場申込+準会場申込(一次A〜E日程)の組み合わせのみ有効
•2〜3級は二次試験のA日程・B日程が分かれるように申込む必要がある
•本会場+本会場や準会場+準会場の重複申込は失格となるため要注意
例えば「本会場で2級を受験し、万が一に備えて自分の通う学校(準会場)でも2級を受験する」といった戦略が可能になりますが、二次試験の日程調整など、複雑な条件をクリアする必要があります。
【用語整理】ダブル受験と重願受験の違い
ここで、混乱しやすい2つの制度を整理しておきましょう:
•ダブル受験:異なる「隣接する2つの級」を同一試験日・同一会場で受験する制度
•重願受験:同一検定回で「同一級」を2回受験する制度(厳格な条件あり)
この記事では主に「ダブル受験」について解説していますが、どちらも2025年度から利用可能な制度として覚えておくと良いでしょう。
このように、英検の受験制度は、受験者のニーズに合わせて柔軟に変化しています。これらの制度を正しく理解し、自分に合った受験プランを立てることが、合格への第一歩となります。
英検ダブル受験の4つのメリット
では、ダブル受験には具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか。ここでは、多くの受験者が感じるであろう4つの大きなメリットを解説します。
1. 効率的な資格取得と「滑り止め」による安心感
ダブル受験最大のメリットは、1回の受験で2つの級の合格を狙える効率の良さにあります。特に、「今の実力なら確実に合格できる級」と「少し背伸びしてチャレンジしたい上の級」を同時に受験する戦略は非常に有効です。
例えば、現在準2級の実力がある高校生が、準2級プラスと2級をダブル受験したとします。この場合、
•本命の2級に合格できれば、大学入試などで有利になる資格を一足早く手に入れられる。
•万が一2級が不合格でも、準2級プラスに合格していれば、「最低限の目標はクリアできた」という安心感を得られ、次の挑戦へのモチベーションにも繋がる。
このように、片方の級を「滑り止め」として確保できるため、精神的な負担を軽減しながら、より高いレベルへ挑戦できるのです。1つの級だけに絞って受験し、不合格だった場合のリスクを考えると、このメリットは非常に大きいと言えるでしょう。
2. 試験会場への移動時間とコストの削減
地味ながらも無視できないのが、移動時間と交通費の節約です。もし別々の日に2つの級を受験する場合、当然ながら2回試験会場へ足を運ぶ必要があります。特に、遠方の会場まで行かなければならない場合、その負担は決して小さくありません。
ダブル受験であれば、1日で2つの試験が終わるため、会場への往復は1回で済みます。これは、時間的にも経済的にも大きなメリットです。節約できた時間とエネルギーを、直前の最終確認や休憩に充てることができます。
3. 試験の雰囲気に慣れ、後半の試験で実力を発揮しやすくなる
特に英検の受験経験が少ない方にとって、試験会場の独特な緊張感は大きなプレッシャーとなります。しかし、ダブル受験の場合、1日に2回試験を受けることで、その雰囲気に早く慣れることができます。
例えば、午前に下の級、午後に上の級を受験するスケジュールの場合、午前の試験で会場の雰囲気や試験の流れを掴むことができます。これにより、午後の本命の試験では、余計な緊張をせずにリラックスして問題に集中しやすくなるのです。いわば、午前の試験が午後の試験のための「最高のウォーミングアップ」になる、と考えることもできるでしょう。
4. 集中力と体力の持続力を鍛える機会になる
1日に2つの試験を受けることは、当然ながら高い集中力と体力を要求されます。これは一見デメリットのようにも思えますが、見方を変えれば**「本番の試験環境で、長時間集中し続ける訓練ができる」**という貴重な機会でもあります。
特に、今後さらに上の級を目指していく上では、長時間の試験に耐えうる集中力と体力は不可欠です。ダブル受験という負荷のかかる状況を経験しておくことで、精神的にも肉体的にもタフになり、今後の英語学習全体においてもプラスに働く可能性があります。
無計画は危険!ダブル受験の3つのデメリットと注意点
多くのメリットがある一方で、ダブル受験には当然デメリットも存在します。計画を立てずに安易に挑戦すると、かえって非効率な結果を招く可能性もあります。ここでは、事前に知っておくべき3つのデメリットを解説します。
1. 学習負担の増大と対策時間の分散
最も大きなデメリットは、2つの級の対策を同時に進めなければならないことによる学習負担の増大です。当然ながら、級が異なれば、求められる語彙レベルや文法の知識、ライティングやスピーキングで扱うべきトピックも変わってきます。
特に、実力が離れた2つの級を対策する場合、それぞれのレベルに合わせた学習が必要となり、結果的にどちらの対策も中途半端になってしまう「共倒れ」のリスクがあります。例えば、2級と準1級では、単語の難易度や長文のテーマの専門性が大きく異なります。両方の対策を並行して行うには、相当な学習時間の確保と効率的な学習計画が不可欠です。
2. 1日2試験という体力・精神的な負担
メリットの裏返しになりますが、**1日に2つの試験を受けることは、想像以上に体力と精神力を消耗します。**午前の試験が終わった時点で疲労困憊してしまい、午後の試験では集中力が続かなかった、というケースも少なくありません。
特に、試験と試験の間の休憩時間が短い場合、昼食をゆっくりとる時間もなく、頭を切り替える間もないまま次の試験に臨むことになります。高いパフォーマンスを維持するためには、休憩時間の過ごし方やエネルギー補給など、事前のシミュレーションと準備が重要になります。
3. 受験料が2倍になる経済的負担
当然のことながら、2つの級を受験するため、検定料は2級分必要になります。決して安い金額ではないため、本当にダブル受験が必要なのか、費用対効果を慎重に検討する必要があります。
もし不合格だった場合、経済的なダメージも2倍になります。「とりあえず受けてみよう」という軽い気持ちで申し込むのではなく、「絶対に合格を勝ち取る」という強い意志を持って臨むべきでしょう。
【参考】2025年度 英検検定料(従来型・本会場)
級 | 検定料 |
1級 | 12,500円 |
準1級 | 10,500円 |
2級 | 9,100円 |
準2級プラス | 8,700円 |
準2級 | 8,500円 |
3級 | 6,900円 |
4級 | 4,700円 |
5級 | 4,100円 |
※上記は本稿執筆時点のものです。最新の情報は必ず公式サイトでご確認ください。
ダブル受験を成功させるための3つの戦略
では、これらのメリット・デメリットを踏まえた上で、ダブル受験を成功させるためにはどのような戦略が必要なのでしょうか。ここでは、3つの具体的な戦略を提案します。
戦略1:学習の優先順位を明確にする
最も重要なのは、「どちらの級の合格を主軸に置くか」を明確に決めることです。そして、学習時間の配分もそれに合わせて傾斜をつけるべきです。
•チャレンジ受験の場合(例:準2級合格レベルで、準2級プラスと準2級を受験)
•学習時間の**7〜8割を上の級(準2級プラス)**の対策に充てる。
•下の級(準2級)は、過去問を数回分解いて実力を維持する程度に留める。
•上の級の学習は、下の級の内容を包含している部分も多いため、上の級に集中することが結果的に両方の対策に繋がる。
•実力維持・確認の場合(例:準2級プラス合格レベルで、2級と準2級プラスを受験)
•こちらも同様に、学習時間の**8割以上を上の級(2級)**に集中させる。
•下の級(準2級プラス)は、試験形式に慣れるための「模試」と割り切り、特化した対策は行わない。
重要なのは、2つの級に均等に時間を割こうとしないことです。リソースを集中させることで、少なくともどちらか一方の合格、そして最終的には両方の合格を掴み取る可能性が高まります。
戦略2:試験当日のシミュレーションを徹底する
体力面・精神面での消耗を最小限に抑えるために、試験当日の動きを事前に具体的にシミュレーションしておくことが極めて重要です。
•休憩時間の過ごし方:
•昼食は、短時間でエネルギー補給できるもの(おにぎり、サンドイッチ、ゼリー飲料など)を用意する。
•午前の試験の答え合わせは絶対にしない。気持ちを切り替え、午後の試験に集中する。
•午後の試験で使う単語帳や参考書を1冊に絞って持参し、最終確認を行う。
•持ち物の準備:
•時計(会場にない場合も多い)、筆記用具、受験票、身分証明書など、2試験分をしっかりと確認する。
•体温調節しやすい服装を心がける。
•試験会場までのアクセス:
•交通機関の遅延なども考慮し、余裕を持った移動計画を立てる。
こうした準備を怠らないことが、当日のパフォーマンスを大きく左右します。
戦略3:自分の実力と目的を客観的に分析する
最終的に、ダブル受験に挑戦すべきかどうかは、**「自分の現在の英語力」と「英検を受験する目的」**によって決まります。
•ダブル受験がおすすめな人:
•下の級には合格できる自信があり、さらに上の級へ挑戦したい意欲がある人。
•大学入試や就職活動などで、特定の級の合格を急いでいる人。
•試験の雰囲気に慣れたい、力試しをしたいと考えている人。
•ダブル受験を慎重に検討すべき人:
•下の級の合格もまだ確実ではない人。(まずは下の級の合格に集中すべき)
•学習時間を十分に確保できない人。
•集中力が長時間続かない、体力に自信がない人。
自分の状況を客観的に分析し、本当にダブル受験が自分にとって最適な選択なのかを冷静に判断しましょう。
まとめ:戦略的なダブル受験で、効率よく合格を掴み取ろう!
本記事では、英検のダブル受験について、その制度の概要からメリット・デメリット、そして成功のための戦略までを詳しく解説しました。
【ダブル受験のメリット】
1.効率的な資格取得と「滑り止め」による安心感
2.移動時間とコストの削減
3.試験の雰囲気に慣れ、実力を発揮しやすくなる
4.集中力と体力の持続力を鍛える機会になる
【ダブル受験のデメリット】
1.学習負担の増大と対策時間の分散
2.1日2試験という体力・精神的な負担
3.受験料が2倍になる経済的負担
ダブル受験は、無計画に挑戦すれば「共倒れ」のリスクも伴いますが、自分の実力を客観的に把握し、明確な戦略を持って臨めば、これ以上ないほど効率的に合格を目指せる制度です。
この記事を参考に、あなたがダブル受験に挑戦すべきか、そして挑戦するならどのような戦略で臨むべきかをじっくりと考えてみてください。あなたの英検合格を心から応援しています!