英検3級リスニング攻略法:先に設問を読む習慣で合格を引き寄せる!
「英検3級のリスニング、いつも時間が足りなくて焦ってしまう…」 「第1部の音声が1回しか流れないから、聞き逃したらどうしようと不安になる…」 「リスニングの点数が安定せず、合格の足を引っ張ってしまっている…」
英検3級の合格を目指す多くの受験者が、このような悩みを抱えています。特にリスニングセクションは、第1部では1回のみ、第2・3部では2回放送される音声に集中し、内容を正確に聞き取る必要があるため、苦手意識を持つ人が少なくありません。
しかし、ある「習慣」を身につけるだけで、リスニングのスコアを劇的に改善できるとしたら、試してみたいと思いませんか?
その習慣とは、「先に設問を読む」ことです。
この記事では、なぜ「先に設問を読む」ことが英検3級リスニング攻略の鍵となるのか、その理由から具体的な実践方法、さらには家庭でできる効果的な練習法まで、徹底的に解説します。理論だけでなく、実際の例題やよくある失敗例も交えながら、誰でも今日から実践できる「設問先読み」の技術を具体的にお伝えします。
この記事を読み終える頃には、あなたは「ただ音声を聞く」という受け身の姿勢から脱却し、「聞くべきポイントを狙って聞きに行く」という能動的なリスニングスタイルを身につけているはずです。さあ、一緒にリスニングを得点源に変え、英検3級合格への道を切り拓きましょう!
なぜ「先に設問を読む」ことが重要なのか?
英検3級のリスニング試験は、約25分間で30問の問題に解答する必要があります。英検協会のリスニング原稿では、第1部は1回、第2・3部は2回放送、各問10秒の解答時間、放送中のメモ可が明記されています。特に、第1部では音声が1回のみの放送となります。限られた時間の中で、集中力を維持し、正確に内容を聞き取るためには、戦略的なアプローチが不可欠です。
そこで最も効果的な戦略が「設問の先読み」です。では、なぜ先読みがそれほどまでに重要なのでしょうか。その理由は大きく3つあります。
1. 聞くべきポイント(目的)が明確になる
人間は、目的意識を持つことで、膨大な情報の中から必要な情報だけを効率的に収集する能力を持っています。これを心理学では「選択的注意(例:カクテルパーティー効果)」と呼びます。
例えば、騒がしいパーティー会場でも、自分の名前が呼ばれると聞こえてくるという経験はありませんか?これがカクテルパーティー効果です。また、「今日のラッキーカラーは赤です」と朝の占いで言われた日、街中で普段より赤いものが目に付くのも、選択的注意の働きによるものです。
リスニング試験も同様です。事前に設問に目を通しておくことで、「何を聞き取るべきか」という目的が明確になります。
例:
設問: What will the boy do after school? (男の子は放課後、何をしますか?)
この設問を先に読んでおけば、会話の中で男の子が話す「放課後の予定」に関する部分に集中すれば良いことが分かります。部活動の話なのか、友達と遊ぶ話なのか、あるいは習い事の話なのか。聞くべきポイントが定まることで、脳は自動的に関連情報をピックアップしやすくなり、他の不要な情報に惑わされることが少なくなります。
逆に、何も準備せずに音声を聞き始めると、登場人物の名前、会話の場所、時間、話題など、全ての情報を平等に記憶しようとしてしまい、脳がすぐに情報過多に陥ってしまいます。結果として、最も重要なポイントを聞き逃してしまうリスクが高まるのです。
2. 会話のテーマや文脈を予測できる
設問と選択肢は、これから流れる音声の内容を要約したヒントの宝庫です。これらを先に読むことで、会話のテーマや状況、話の展開をある程度予測することができます。
例:
設問: Where will the girl go this Sunday? (女の子は今度の日曜日、どこへ行きますか?)選択肢: (A) To the park (B) To the library (C) To the supermarket
この設問と選択肢を読めば、これから流れる会話が「女の子の日曜日の予定」に関するものであり、話題の中心が「場所」であることが瞬時に分かります。公園、図書館、スーパーマーケットという具体的な選択肢から、会話のシチュエーションもある程度想像できるでしょう。
このように事前に文脈を予測しておくことで、音声が始まった瞬間にスムーズに話の内容に入り込むことができます。心の準備ができているため、不意を突かれて聞き逃すといった事態を防ぎ、落ち着いて音声に集中できるのです。
3. 精神的な余裕が生まれ、焦りを軽減できる
「何が問われるか分からない」という不安は、試験本番での焦りや緊張の大きな原因となります。特に、一度しか流れない音声に対するプレッシャーは相当なものです。
設問を先読みしておくことは、この精神的な負担を大きく軽減する効果があります。次に何が来るか分かっているという安心感は、落ち着いて問題に取り組むための強力な武器となります。
たとえ完全に聞き取れない部分があったとしても、事前に把握した「聞くべきポイント」さえ押さえられていれば、正解を導き出せる可能性は十分にあります。「全部聞き取らなければ」という完璧主義のプレッシャーから解放され、「大事なところだけ聞き取れば良い」とリラックスして構えることができるのです。
このように、設問の先読みは、単なるテクニックではなく、リスニング試験全体を有利に進めるための極めて重要な戦略と言えます。次のセクションでは、この先読みをどのように実践すれば良いのか、具体的なステップを見ていきましょう。
設問先読みの具体的ステップ:15秒で聞くべきポイントを見抜く技術
「先読みが重要なのは分かったけれど、具体的にどうやればいいの?」 「試験本番の短い時間で、本当に全部読めるの?」
そんな疑問を持つ方も多いでしょう。確かに、リスニング問題の合間に与えられる時間は、各問の解答時間として10秒に設定されています。しかし、ポイントを押さえれば、この短い時間でも効果的に先読みを行うことは十分に可能です。
ここでは、誰でも実践できる具体的な3つのステップをご紹介します。このステップを意識するだけで、あなたの先読みの質とスピードは格段に向上するはずです。
ステップ1:疑問詞(5W1H)を最優先でチェックする
設問の先読みで最も重要なのは、疑問詞(Who, What, When, Where, Why, How)を瞬時に見つけ出すことです。疑問詞は、その問題が何を聞き取ろうとしているのかを端的に示しています。
•Who(誰が): 人物名や関係性(father, teacherなど)に注意して聞く。
•What(何を): 物や行動、状況に注意して聞く。
•When(いつ): 時間、日付、曜日、季節などに注意して聞く。
•Where(どこで): 場所(park, station, schoolなど)に注意して聞く。
•Why(なぜ): 理由や原因を示す表現(because, soなど)に注意して聞く。
•How(どのように/どれくらい): 方法、手段、期間、値段などに注意して聞く。
例えば、設問の冒頭が "Where" で始まっていれば、会話に出てくる場所の名前や、場所を示唆する表現(next to the bank, in front of the stationなど)に集中すれば良いと分かります。他の情報、例えば人物の名前や時間などは、極端に言えば聞き取れなくても正解できる可能性が高いのです。
まずは設問の最初の1単語、疑問詞に丸をつける習慣をつけましょう。これだけで、聞くべき情報の種類が特定され、リスニングの精度が格段に上がります。
ステップ2:動詞と目的語から「行動」を把握する
次に注目すべきは、設問文の動詞と目的語です。これらは、会話の中心となる「行動」や「状況」を示しています。
例:
設問: What will the boy buy at the store? (男の子はお店で何を買いますか?)
この場合、疑問詞 "What" と動詞 "buy" から、「男の子が買うもの」が問われていることが分かります。音声を聞く際は、男の子が「I will buy...」や「I need...」など、購入する意思を示す発言に集中すれば良いのです。
設問: Why did the girl go to the library? (なぜ女の子は図書館へ行ったのですか?)
この設問では、疑問詞 "Why" と動詞句 "go to the library" から、「女の子が図書館へ行った理由」が問われていることが分かります。理由を説明する「because...」や、目的を示す「to study...」といった表現に注意して聞くことがポイントになります。
疑問詞と動詞(+目的語)を押さえるだけで、設問の意図の8割は理解できると言っても過言ではありません。主語や時制などの細かい部分は、慣れるまでは後回しでも構いません。
ステップ3:選択肢の違いを比較し、キーワードを拾う
最後に、選択肢にざっと目を通し、それぞれの違いを比較します。全ての選択肢を完璧に和訳する必要はありません。単語レベルで何が違うのかを把握するだけで十分です。
例:
選択肢: (A) At 7 o'clock. (B) At 8 o'clock. (C) At 9 o'clock.
この場合、違いは「時間」だけです。音声の中から時間の表現を聞き取れば正解できます。
選択肢: (A) Play soccer. (B) Play baseball. (C) Play tennis.
この場合は「スポーツの種類」が違うことが分かります。サッカー、野球、テニスといった単語に集中して聞けば良いのです。
選択肢: (A) Because it was sunny. (B) Because it was rainy. (C) Because it was cloudy.
この場合は「天気」が違うことが分かります。天気を表す単語に注意しましょう。
このように、選択肢の違いを比較することで、より具体的に「何に集中して聞くべきか」が明確になります。選択肢に出てくるキーワード(時間、場所、動詞、名詞など)に軽く丸をつけたり、アンダーラインを引いたりしておくと、音声を聞きながら照合しやすくなります。
【先読みの優先順位まとめ】
1.最優先: 設問の疑問詞(5W1H)
2.次に: 設問の動詞と目的語
3.最後に: 選択肢の違い(キーワード)
この3ステップを、約10秒で素早く処理する練習を繰り返すことで、誰でも「設問先読み」の達人になることができます。次のセクションでは、実際の例題を使って、このステップをどのように適用するのかをシミュレーションしてみましょう。
実際の例題を使った練習法:先読みをシミュレーションしてみよう
理論とステップを理解したところで、次は実際の例題を使って先読みのプロセスを体験してみましょう。ここでは、英検3級で実際に出題される形式に沿った例題を2つ用意しました。それぞれの例題で、先ほどの3ステップをどのように適用していくのか、思考の流れを追いながら確認してください。
例題1:大問2(会話の内容一致選択)形式
まずは、男女の会話を聞いて、その内容に関する質問に答える形式の問題です。音声が2回流れるため、比較的落ち着いて取り組めますが、先読みをすることで、より確実に正解を導き出すことができます。
【問題】
問題冊子に書かれている内容:
Question: Where will the girl go this Sunday?(1) To the park. (2) To the library. (3) To the supermarket. (4) To the museum.
【先読みシミュレーション(約10秒)】
1.ステップ1:疑問詞をチェック
•設問の冒頭にある "Where" に注目します。「場所」が問われていることを瞬時に把握します。
•(思考:「どこへ行くかを聞き取ればいいんだな」)
2.ステップ2:動詞と目的語から行動を把握
•"go" と "this Sunday" に注目します。「日曜日にどこへ行くか」という具体的な行動と時制を把握します。
•(思考:「女の子が日曜に行く場所を聞き取るぞ」)
3.ステップ3:選択肢の違いを比較
•選択肢はすべて「場所」を表す名詞です。
•(1) park(公園)
•(2) library(図書館)
•(3) supermarket(スーパー)
•(4) museum(博物館)
•これらの単語が音声中でどのように言及されるかに集中します。
•(思考:「公園、図書館、スーパー、博物館のどれかが出てくるはずだ」)
【音声を聞く際のポイント】
この先読みにより、あなたは「女の子が日曜に行く場所」という明確な目的を持って音声を聞くことができます。会話の中で、男の子の予定や、他の曜日の話が出てきても、それらは重要ではないと判断し、惑わされることなく聞き流すことができます。
放送文(例):
Man: Hi, Yumi. Do you have any plans for this weekend? Girl: Hi, Ken. On Saturday, I have to help my mother clean the house. But on Sunday, I’m going to the library to study for the math test. Man: The library? I’m going to the park to play soccer with my friends on Sunday. Girl: That sounds fun!
Question: Where will the girl go this Sunday?
【解答プロセス】
•先読みで「女の子(Yumi)の日曜日の予定」と「場所」に集中する準備ができています。
•会話の中で、女の子が "on Sunday, I’m going to the library to study..." と明確に発言している部分を聞き取ることができます。
•男の子が公園(park)に行くという情報は、設問とは関係ないため、混乱することなく無視できます。
•したがって、正解は (2) To the library. と自信を持って選ぶことができます。
例題2:大問1(会話の応答文選択)形式
次に、イラストを見ながら会話を聞き、最後の発言に対する応答として最も適切なものを選択する形式です。この形式では、第1部の音声が1回のみの放送となるため、先読みの重要性がさらに高まります。
【問題】
問題冊子に書かれている内容:
(男女が店員と客として話しているイラスト)
放送される選択肢(問題用紙には書かれていない):
(1) No, thank you. (2) Orange, please. (3) I’d like a hot dog.
【先読みシミュレーション(ディレクションが流れている間・約10秒)】
大問1では、設問文が問題冊子に書かれていません。そのため、先読みの対象はイラストになります。本番の解答時間は各問10秒ですが、ディレクション中に先読みの準備を行います。
1.イラストから状況を把握する
•男女がお店のような場所で話していることを確認します。一方が店員で、もう一方が客である可能性が高いと予測できます。
•(思考:「お店での注文や会計の場面かな?」)
2.会話の展開を予測する
•店員が「May I help you?(いらっしゃいませ)」や「What would you like?(何になさいますか?)」と尋ね、客が注文する、という典型的な会話の流れを予測します。
【音声を聞く際のポイント】
この形式では、会話の最後の発言を聞き取り、それに対する自然な応答を選ぶ必要があります。最後の発言が質問であれば、その質問に正しく答えている選択肢を選びます。
放送文(例):
A (Man): May I help you? B (Woman): Yes. I’d like a glass of juice. A (Man): What kind would you like?
【解答プロセス】
•最後の発言は "What kind would you like?"(どの種類がよろしいですか?)です。
•この質問に対して、具体的な種類を答えている応答が正解となります。
•(1) No, thank you. (いいえ、結構です)→ 質問に答えていない。
•(2) Orange, please. (オレンジをお願いします)→ 種類を答えている。
•(3) I’d like a hot dog. (ホットドッグが欲しいです)→ ジュースの種類を聞かれているのに、別の商品を注文しているため不自然。
•したがって、正解は (2) Orange, please. となります。
このように、例題を通して先読みのプロセスを繰り返し練習することで、本番でも自然と体が動くようになります。次のセクションでは、この練習を家庭でどのように継続していけば良いか、具体的な学習方法を見ていきましょう。
家庭学習でできる!「先読み」を習慣化する効果的な練習方法
設問先読みの重要性と具体的なステップを理解したら、次はその技術を体に染み込ませるための練習あるのみです。ここでは、特別な教材を必要とせず、主に過去問を使って家庭でできる効果的な練習方法を3つ紹介します。
1. 「10秒タイマー」で先読みスピードを鍛える
本番の試験で焦らずに先読みを実践するためには、時間内に設問を処理するスピードを養うことが不可欠です。そのための最も効果的なトレーニングが「10秒タイマー」を使った練習です。
【練習の手順】
1.準備するもの
•英検3級の過去問(問題冊子)
•スマートフォンやキッチンタイマー
2.タイマーを10秒にセット
•まずは10秒から始めましょう。これは、各問の解答時間として設定されている時間です。
3.タイマースタートと同時に先読み開始
•過去問のリスニング問題(大問2や大問3)を1問選び、タイマーをスタートさせると同時に、前セクションで学んだ3ステップ(①疑問詞、②動詞、③選択肢の違い)に従って先読みを行います。
•設問のキーワードに丸をつけたり、選択肢の違いに下線を引いたり、実際に手を動かしながら行いましょう。
4.10秒経ったら音声を聞く
•タイマーが鳴ったら、その問題の音声を流して問題を解きます。
5.慣れてきたら余裕を持って取り組む
•10秒で余裕を持ってできるようになったら、本番でも落ち着いて先読みができるようになります。さらに処理速度を上げたい場合は、8秒程度に挑戦してみましょう。
この練習を毎日5問でも続けることで、脳が「短時間でキーワードを拾う」モードに切り替わるようになります。最初は時間がかかっても、繰り返すうちに必ずスピードは上がります。
2. 「ディクテーション&音読」で聞き取りの精度を上げる
先読みで聞くべきポイントが分かっても、肝心の音声が聞き取れなければ意味がありません。聞き取りの精度そのものを向上させるためには、ディクテーション(書き取り)と音読が非常に効果的です。
【練習の手順】
1.ディクテーション(書き取り)
•過去問の音声を一文ずつ止めながら、聞こえた英文をノートに書き取っていきます。
•最初は完全に書き取れなくても構いません。聞き取れた単語だけでも書き留めましょう。
•書き終わったら、スクリプト(放送文が書かれたもの)を見て答え合わせをします。どの単語が聞き取れなかったのか、なぜ聞き取れなかったのか(単語を知らなかった、リエゾン(音の連結)で違う音に聞こえた、など)を分析します。
2.音読
•スクリプトを見ながら、音声に合わせて、あるいは音声の少し後を追いかけるようにして(シャドーイング)、英文を音読します。
•ただ読むだけでなく、音声のイントネーション(抑揚)やリズム、スピードをそっくり真似することがポイントです。これにより、英語特有の音のリズムが体に染み込み、聞き取り能力が向上します。
ディクテーションは自分の弱点を客観的に把握するために、音読は正しい英語の音を脳にインプットするために行います。この2つをセットで行うことで、リスニングの基礎力が着実にアップします。
3. 「日本語への置き換え」で瞬時の理解力を高める
先読みの際、ただ目で英文を追うだけでなく、その内容を瞬時に日本語で理解する練習も重要です。これにより、音声を聞きながら「えーっと、これはどういう意味だっけ?」と考えるタイムラグをなくすことができます。
【練習の手順】
1.設問を声に出して和訳する
•先読みの練習をする際に、設問を読んだら、それを声に出して日本語に訳してみましょう。
•例:「Where will the girl go this Sunday?」→「女の子は日曜にどこへ行く?」
2.選択肢のキーワードを日本語で捉える
•選択肢も同様に、キーワードを日本語で捉えます。
•例:「(A) To the park」→「公園」、「(B) To the library」→「図書館」
この「日本語への置き換え」を意識的に行うことで、設問の意図をより深く、かつスピーディーに理解する癖がつきます。頭の中で英語と日本語がスムーズに連携するようになり、リスニング中の思考がクリアになります。
これらの練習は、地道で少し大変に感じるかもしれません。しかし、毎日少しずつでも継続することが、リスニングを得点源に変える一番の近道です。次のセクションでは、多くの受験者が陥りがちな失敗例とその改善策について見ていきましょう。
よくある失敗例と改善策:その先読み、間違っていませんか?
「先読みを実践しているのに、なかなかスコアが上がらない…」
そう感じている方は、もしかしたら先読みの方法を少し間違えているのかもしれません。ここでは、多くの受験者が陥りがちな3つの典型的な失敗例と、それぞれの改善策を具体的に解説します。自分のやり方と照らし合わせながら、改善点を見つけていきましょう。
失敗例1:全部を完璧に読もうとして時間切れになる
【ありがちな行動】
•10秒〜15秒という短い時間で、設問も選択肢も一語一句、完璧に和訳しようとする。
•細かい文法や単語の意味まで気にしてしまい、結局、音声が始まるまでに全体を把握できない。
•焦りだけが募り、かえって集中力を欠いてしまう。
これは、特に真面目で完璧主義な人ほど陥りやすい罠です。先読みの目的は、文章を精読することではなく、「聞くべきポイント」を大まかに把握することにあります。
【改善策】キーワードだけを拾う「スキャニング」を意識する
•完璧を目指さない: まずは「全部を理解できなくても良い」と心に決めましょう。
•キーワードに集中: 設問では「疑問詞(5W1H)」と「動詞」、選択肢では「名詞」や「動詞」など、内容を区別するキーワードだけを拾い読み(スキャニング)する練習をします。
•記号を活用: キーワードにサッと丸をつけたり、下線を引いたりするだけで、視覚的にポイントを整理できます。和訳する時間がない場合は、記号をつけるだけでも効果があります。
例:
Question: What will the boy do after school? (1) He will play soccer. (2) He will go to the library. (3) He will clean his room.
この場合、「What」「boy」「do」と、選択肢の「soccer」「library」「clean」だけを拾えば、「男の子が放課後に何をするか」が問われており、選択肢が「スポーツ」「場所」「行動」で分かれていることが瞬時に把握できます。
失敗例2:音声を聞きながら、設問や選択肢を読んでいる
【ありがちな行動】
•先読みが間に合わず、音声が流れている最中に、目で問題冊子の文字を追いかけてしまう。
•「耳」で音声を聞き、「目」で文字を読む、という2つの作業を同時に行おうとする。
•結果的に、どちらも中途半半端になり、音声の内容も設問の意図も頭に入ってこない。
人間の脳は、2つの異なる情報処理を同時に行うこと(マルチタスク)を非常に苦手とします。特にリスニングにおいては、耳からの情報処理に集中することが極めて重要です。
【改善策】「読む時間」と「聞く時間」を完全に分離する
•音声が始まる前に読むのをやめる: リスニングテストのディレクションで「No. 1」などと問題番号が読み上げられたら、潔く問題冊子から顔を上げ、聞く姿勢に集中しましょう。
•聞くときは耳に全集中: 音声が流れている間は、目を閉じるか、イラスト問題でなければ少し遠くを見るなどして、視覚情報を遮断するのも効果的です。とにかく「聞くこと」だけにリソースを割きましょう。
•先読みはあくまで準備: 「先読みは、音声を聞くための準備運動である」と割り切ることが大切です。準備が不完全でも、本番(音声)が始まったらそちらに切り替える勇気を持ちましょう。
失敗例3:聞き取れなかった部分に固執してしまう
【ありがちな行動】
•会話の冒頭や、知らない単語が出てきた瞬間に「え、今なんて言った?」と考え込んでしまう。
•その聞き取れなかった一語に意識が囚われ、その後の音声が全く耳に入ってこなくなる。
•結局、全体の内容が分からなくなり、問題を落としてしまう。
これは、リスニングが苦手な人に最も多く見られるパターンです。一語の聞き逃しが、その問題全体の失点に直結してしまいます。
【改善策】「分からなくても次へ」と気持ちを切り替える勇気を持つ
•完璧な聞き取りは不要と知る: 英検3級のリスニングは、全ての単語が聞き取れなくても、キーワードさえ押さえられていれば解ける問題がほとんどです。
•分からなくても止めない: 聞き取れない部分があっても、「まあいいか」と気にせず、意識をすぐに次の音声に向けましょう。話は続いています。その後の内容から、分からなかった部分が推測できることもよくあります。
•先読みで予測した情報を頼りにする: 先読みで「場所が問われている」と分かっていれば、たとえ他の部分が曖昧でも、場所に関する単語が出てくるのを待ち構えることができます。これが、聞き逃しによるパニックを防ぐための命綱になります。
これらの失敗例は、練習を重ねることで必ず克服できます。自分がどのパターンに陥りやすいかを自己分析し、改善策を意識しながらトレーニングに励みましょう。
まとめ:リスニングは「準備」で決まる!明日から使える実践チェックリスト
これまで、英検3級リスニング攻略の鍵となる「設問の先読み」について、その重要性から具体的なステップ、練習方法、そして失敗例まで詳しく解説してきました。
この記事で一貫してお伝えしてきたのは、**「リスニングのスコアは、音声が流れる前の『準備』で大きく変わる」**ということです。
闇雲に音声を聞くのではなく、
1.先読みで「聞くべきポイント」を特定し、
2.会話の展開を予測し、
3.心に余裕を持って音声に集中する。
この戦略的なアプローチこそが、あなたを合格へと導く最短ルートです。最初は難しく感じるかもしれませんが、練習を繰り返せば、誰でも必ずこの技術を習得できます。
最後に、明日からの学習や試験本番で、あなたが「設問の先読み」を確実に実践するためのチェックリストを用意しました。リスニング問題に取り組む直前に、頭の中でこのリストを確認する習慣をつけましょう。
【実践のための最終チェックリスト】
□ 1. 疑問詞(5W1H)はチェックしたか?
•(Who, What, When, Where, Why, How)
•「何が」問われているのか、核心を掴んだか?
□ 2. 動詞と目的語は確認したか?
•「誰が」「何をする」話なのか、具体的な行動をイメージできたか?
□ 3. 選択肢の違いは把握したか?
•(時間、場所、人物、行動など)
•選択肢のキーワードを拾い、聞くべき情報の種類を特定できたか?
□ 4. 「読む時間」と「聞く時間」を分離する意識はあるか?
•音声が始まったら、潔く聞くことに集中する準備はできているか?
□ 5. 完璧じゃなくてもOK、と心に決めたか?
•一語一句聞き取れなくても、キーワードさえ押さえれば大丈夫だと、リラックスできているか?
このチェックリストが、あなたの心強いお守り代わりとなるはずです。
英検3級のリスニングは、決して難しいものではありません。正しい戦略を知り、それを実践するための練習を積めば、必ず得意分野に変えることができます。「先に設問を読む」という最強の武器を手に、自信を持って本番に臨んでください。
あなたの合格を心から応援しています!