英検4級に必要な単語数と覚えやすい暗記法
英検4級は、英語学習の基礎を固める上で重要なステップです。中学中級レベルとされるこの級に合格するためには、しっかりとした単語力の習得が欠かせません。しかし、「どれくらいの単語を覚えればいいの?」「どうすれば効率的に覚えられるの?」と悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
この記事では、英検4級の合格に必要な単語数から、科学的根拠に基づいた効果的な暗記法、おすすめの単語集、そして具体的な学習スケジュールまで、あなたの疑問にすべてお答えします。この記事を読めば、英検4級合格への道筋が明確になり、自信を持って学習に取り組めるようになるでしょう。
英検4級に必要な単語数
英検4級に合格するために必要な単語数は、約600〜700語程度が目安とされています(参考によっては1,000語程度までとされる場合もあります)。ただし、英検公式は具体的な語彙数を明示していないため、これらは教育実務で用いられる一般的な目安となります。これは、中学2年生までに習う単語・熟語・定型文が中心となるレベルです。具体的には、日常生活の身近なトピック(家族、学校、食べ物、天気など)に関する基本的な単語や表現を理解し、使えることが求められます。
英検公式サイトでも、4級のレベルは「中学中級程度」とされており(おおむねCEFR A1相当の領域)、5級よりも一段上の、基礎的でありながら重要な内容が出題されると説明されています。したがって、小学校で習う英単語に加えて、中学校で習う基本的な単語をしっかりと押さえておくことが合格への鍵となります。
効果的な単語暗記法
単語をただやみくもに覚えようとしても、なかなか記憶に定着しません。ここでは、科学的に有効性が示されている4つの暗記法をご紹介します。これらの方法を組み合わせることで、より効率的に単語学習を進めることができます。
1. 間隔を空けて復習する(スペースド・リピティション)
「スペースド・リピティション」は、ドイツの心理学者ヘルマン・エビングハウスが提唱した「忘却曲線」の理論に基づいた記憶術です。人は新しいことを学んでも、時間とともに忘れていってしまいます。しかし、忘れる前の適切なタイミングで復習することで、記憶をより強固なものにできるのです。
具体的な方法としては、新しい単語を学習した後、「1日後、3日後、1週間後、2週間後、1ヶ月後」のように、だんだんと復習の間隔を空けていくのが効果的です。この方法を実践するには、「Anki」や「Quizlet」といった単語学習アプリが非常に便利です。これらのアプリは、あなたが復習すべきタイミングを自動的に管理し、最適なタイミングで問題を出題してくれます。
2. 結びつけて覚える(二重符号化理論)
「二重符号化理論」とは、情報を言語的な情報(文字)と非言語的な情報(イメージ)の両方で覚えることで、記憶に残りやすくなるという理論です。単に単語のスペルと意味を1対1で覚えるのではなく、その単語が持つイメージや関連する情報と結びつけて覚えることが重要です。
例えば、「apple」という単語を覚える際に、ただ「apple = リンゴ」と覚えるのではなく、「赤くて丸い、甘くて美味しい果物」といった具体的なイメージを思い浮かべたり、「apple pie」や「apple juice」といった関連する言葉と一緒に覚えたりするのです。また、語源を調べてみるのも良い方法です。「telephone」が「tele(遠い)」と「phone(音)」というギリシャ語から成り立っていることを知れば、単語の意味をより深く理解でき、忘れにくくなります。
3. 文脈で覚える
単語は、単体で覚えるよりも、実際に使われる文脈の中で覚える方が、記憶に定着しやすく、また実践的な使い方を身につけることができます。例えば、「run」という単語を覚える時に、ただ「run = 走る」と覚えるだけでなく、「I like to run in the morning.(私は朝に走るのが好きです)」といった具体的な文章の中で覚えるのです。
このように文脈の中で覚えることで、その単語がどのような状況で、どのようなニュアンスで使われるのかを理解することができます。多くの研究で、単語を単独で覚えるよりも文脈の中で覚えた方が、長期的な記憶に残りやすいことが示されています。市販の単語帳の中には、すべての単語に例文が掲載されているものも多いので、ぜひ活用しましょう。
4. 自分で能動的に思い出す(アクティブリコール)
「アクティブリコール」とは、覚えた情報をただ受け身で眺めるのではなく、自分自身の力で能動的に思い出す(再生する)ことで、記憶を強化する方法です。心理学者の研究によると、情報をインプットするだけでなく、アウトプットする作業を積極的に行うことが、記憶の定着に非常に効果的であることがわかっています。
具体的な方法としては、単語帳の日本語訳を隠して英単語だけを見て意味を思い出したり、逆に日本語を見て英単語を書き出したり、声に出して発音したりすることが挙げられます。また、覚えた単語を使って自分で簡単な文章を作ってみたり、誰かにその単語の意味を説明してみるのも良い練習になります。インプットとアウトプットをバランス良く行うことが、効率的な単語学習の鍵となります。
暗記のコツ
効果的な暗記法を実践する上で、学習を継続するためのちょっとしたコツを知っておくと、さらに効率が上がります。ここでは、すぐに実践できる3つのコツをご紹介します。
1. 毎日少しずつでも続ける
単語学習で最も大切なのは、継続することです。一度にたくさんの単語を覚えようとすると、挫折しやすくなります。それよりも、「1日10個」のように、無理のない範囲で目標を立て、毎日コツコツと続ける方が、結果的に多くの単語を覚えることができます。通勤・通学の電車の中や、寝る前の5分間など、スキマ時間を有効活用するのも良い方法です。
2. 五感をフル活用する
単語を覚える際には、目で見るだけでなく、耳で聞き、口で発音し、手で書くなど、五感をフル活用することで、記憶に残りやすくなります。単語帳に付属している音声を聞きながら発音を真似したり、単語をノートに何度も書き写したりすることで、脳の様々な部分が刺激され、記憶が強化されます。
3. 完璧を目指さない
一度で完璧に覚えようとせず、「忘れることを前提に」学習を進めることも大切です。忘却曲線の理論でも示されているように、人は忘れる生き物です。一度で覚えられなくても、「また覚え直せばいい」と気楽に考え、何度も繰り返し復習することを心がけましょう。完璧主義にならず、リラックスして取り組むことが、学習を長続きさせる秘訣です。
おすすめの単語集
効果的な単語学習のためには、自分に合った単語集を選ぶことが重要です。ここでは、英検4級対策として人気が高く、実績のある単語集を4つご紹介します。
※価格・掲載語数・仕様は版や改訂により変更される場合があります。最新情報は各出版社の案内をご確認ください。
単語集名 | 出版社 | 特徴 | 価格(目安) | 掲載単語数(4級) |
英検でる順パス単 | 旺文社 | 過去問分析に基づき、出題頻度の高い順に掲載。音声アプリ対応。 | 1,100円 | 700語+会話表現 |
英検文で覚える/絵で覚える単熟語 | 旺文社 | イラストや例文が豊富で、視覚的に楽しく覚えられる。 | 1,320円 | 約350単熟語+会話表現 |
キクタン英検 | アルク | 音声コンテンツが充実しており、聞いて覚えることに特化。4級用もあり。 | 1,760円 | 4級用あり |
ランク順 英検英単語 | 学研プラス | ランク順で効率的に学習可能。無料アプリでクイズ形式の学習も。 | 1,045円 | 730語 |
1. 旺文社「英検でる順パス単」シリーズ
長年にわたり多くの受験者に支持されている定番の単語集です。過去の出題データを徹底的に分析し、出題頻度の高い順に単語が掲載されているため、効率的に学習を進めることができます。無料の音声アプリ「英語の友」を使えば、スマホで手軽に音声を確認できるのも魅力です。
2. 旺文社「英検文で覚える/絵で覚える単熟語」シリーズ
特に小学生や、文字ばかりの単語帳が苦手な方におすすめなのがこのシリーズです。豊富なイラストと、単語が実際に使われる場面を想定した例文を通して、楽しく単語を覚えることができます。視覚的な情報と結びつけることで、記憶に残りやすくなる効果も期待できます。
3. アルク「キクタン」英検シリーズ
「聞いて覚える」ことをコンセプトにした人気の単語集です。音楽に合わせてリズミカルに単語を覚える「チャンツ」など、音声コンテンツが非常に充実しています。英検5級・4級用のキクタンもあり、音声学習に強い教材として、リスニング力を同時に鍛えたい方や、移動中などのスキマ時間を有効活用したい方に最適です。
4. 学研プラス「ランク順 英検英単語」シリーズ
こちらも出題頻度順にランク分けされており、効率的な学習が可能です。無料のアプリを使えば、クイズ形式で楽しく学習内容を確認できるため、ゲーム感覚で語彙力をアップさせることができます。ダウンロード音声も利用でき、リスニング対策も万全です。
学習期間と目標設定
英検4級合格に必要な学習時間は、一般的に数十時間(15〜20時間程度)が目安とされていますが、個人差が大きいことを理解しておくことが重要です。これは、英検5級に合格しているか、同程度の英語力がある場合を想定した時間です。この学習時間を基に、具体的な学習スケジュールを立ててみましょう。
1ヶ月で合格を目指す学習スケジュール例
1ヶ月という短期間で合格を目指す場合、計画的に学習を進めることが重要です。以下に、4週間の学習スケジュール例をご紹介します。
【1週目:語彙と文法の基礎固め】
•目標: 単語帳の半分(約300〜400語)と、中学1〜2年生レベルの基本文法をマスターする。
•学習内容:
1.毎日、単語帳を20〜30ページずつ進め、新出単語を覚える。
2.週末に1週間の総復習を行う。
3.文法書でbe動詞と一般動詞の違い、現在形・過去形・未来形などの基本的な時制を復習する。
【2週目:弱点発見と克服】
•目標: 残りの単語を覚え、問題演習を通して自分の苦手分野を把握する。
•学習内容:
1.単語帳の残りの半分を覚える。
2.1週目に覚えた単語の復習も忘れずに行う。
3.問題集のリーディング問題を解き、間違えた問題や苦手な文法項目を洗い出す。
4.苦手な部分は、文法書に戻って再度確認する。
【3週目:過去問で実践演習】
•目標: 過去問を解き、時間配分や問題形式に慣れる。
•学習内容:
1.日本英語検定協会の公式サイトで公開されている過去問に挑戦する。
2.必ず時間を計り、本番と同じ状況で解いてみる。
3.間違えた問題は、解説をよく読んで理解するまで復習する。
4.リスニング問題は、スクリプトを見ながら何度も聞き直す。
【4週目:総復習と最終確認】
•目標: これまでの学習内容を総復習し、自信を持って本番に臨む。
•学習内容:
1.単語帳全体をもう一度見直し、記憶が曖昧な単語を完璧にする。
2.過去問で間違えた問題をもう一度解き直す。
3.本番前日は、新しいことはせず、リラックスして過ごす。
このスケジュールはあくまで一例です。自分のペースに合わせて、無理のない計画を立てることが大切です。毎日30分でも学習を続ければ、1ヶ月後には大きな力となっているはずです。
まとめ
英検4級の合格には、約600〜700語程度の単語力が必要であり(参考によっては1,000語程度までとされる場合もあります)、これは中学中級程度(おおむねCEFR A1相当の領域)に相当します。効果的な学習のためには、単に単語を暗記するだけでなく、スペースド・リピティションや二重符号化理論といった科学的に有効性が示されている暗記法を取り入れることが重要です。
また、自分に合った単語集を選び、「1日10個」のように無理のない目標を立てて毎日継続することが、合格への一番の近道です。この記事で紹介した1ヶ月の学習スケジュールを参考に、あなた自身の学習計画を立て、自信を持って英検4級に挑戦してください。応援しています!
注意事項
•本記事の語彙数・学習時間は教育実務で用いられる一般的な目安であり、英検公式の数値ではありません。
•過去問は日本英語検定協会の公式サイトにて公開分を活用してください。
•教材の価格・仕様は改訂により変更される場合があります。最新情報は各出版社にてご確認ください。