英検2級 長文読解の時間配分と解き方|効率的な攻略法で合格を目指そう
はじめに
英検2級は、高校卒業程度の英語力が求められる試験であり、大学入試や就職活動など、さまざまな場面で英語力を証明する指標として活用されています。特に、リーディングセクションの長文読解は、合否を大きく左右する重要なパートです。しかし、「時間が足りなくて最後まで解ききれない」「長文を読むのが苦手で、なかなか点数が伸びない」といった悩みを抱える受験者も少なくありません。
英検2級の長文読解を攻略するためには、単語力や文法力といった基礎的な英語力はもちろんのこと、効率的な時間配分と戦略的な解き方を身につけることが不可欠です。時間内にすべての問題を解き、かつ正答率を上げるためには、どの問題にどれくらいの時間をかけるべきか、そして、どのように問題を解き進めるべきかを事前に計画しておく必要があります。
この記事では、2024年度にリニューアルされた英検2級の最新情報に基づき、長文読解の理想的な時間配分と、大問別の具体的な解き方のコツを徹底的に解説します。さらに、読解力そのものを向上させるための効果的な勉強法や、多くの受験者が陥りがちな失敗パターンとその対策についても詳しくご紹介します。この記事を最後まで読めば、あなたも英検2級の長文読解に対する苦手意識を克服し、自信を持って試験に臨むことができるようになるでしょう。
英検2級長文読解の基本情報
まずは、英検2級の長文読解問題の全体像を把握することから始めましょう。2024年度から試験内容が一部リニューアルされ、リーディングセクションにも変更がありました。最新の情報を押さえておくことが、効果的な対策の第一歩です。
2024年度リニューアル後の変更点
2024年度からの大きな変更点は、リーディングの問題数が38問から31問に削減されたことです。また、ライティングは1題から2題に増加し、従来の意見論述に加えて「英文要約」問題が追加されたため、筆記試験全体(85分)の時間管理はよりシビアになったと言えるでしょう。リーディングで時間をいかに効率的に使い、ライティングの時間を十分に確保できるかが、合格の鍵を握ります。
問題構成と配点
英検2級のリーディングセクションは、以下の3つの大問で構成されています。
大問 | 問題形式 | 問題数 | 推奨時間(目安) |
1 | 短文の語句空所補充 | 17問 | 10分 |
2 | 長文の語句空所補充 | 6問 | 15分 |
3 | 長文の内容一致選択 | 8問 | 25分 |
長文読解に該当するのは、大問2と大問3です。大問2は2つの説明文(各270語程度・目安)、大問3はEメール形式の文章(240語程度・目安)と説明文(350語程度・目安)で構成されています。これらの長文問題に合計で約40分を充てるのが一つの目安となります。
合格に必要な得点率
英検では、各技能(リーディング、リスニング、ライティング、スピーキング)に均等にスコアが配分されるため、総合点で合否が判定されます。明確な合格最低点は毎回変動しますが、一般的に各技能で6割程度の正答率が合格の目安とされています。リーディングセクション(31問)においては、約18問〜19問以上の正解を目指したいところです。ただし、これはあくまで目安であり、他の技能の得点状況によっても変わってきます。苦手な長文読解で大きく失点しないよう、安定して6割以上を得点できる実力をつけておくことをお勧めします。
理想的な時間配分戦略
英検2級の筆記試験(85分)を制するためには、戦略的な時間配分が不可欠です。ここでは、リーディングとライティングを合わせた理想的な時間配分と、そのメリットについて解説します。
全体の時間配分(85分の使い方)
多くの受験指導の専門家が推奨する時間配分は、以下の通りです。
•リーディング:50分
•ライティング:35分
この配分で進めると、合計85分となり、試験時間を最大限に活用できます。特に、配点の高いライティングに35分という十分な時間を確保することが、合格への大きなアドバンテージとなります。中には、リーディングを45分、ライティングを40分といった、さらにライティングに重点を置く戦略もありますが、まずはこの「50分-35分」を基準に、過去問演習を通して自分に合った時間配分を見つけていくのが良いでしょう。
各大問別の推奨時間
リーディングの50分を、さらに各大問に分解してみましょう。
•大問1(語句空所補充):10分
•大問2(長文語句空所補充):15分
•大問3(長文内容一致選択):25分
この時間配分で進めると、合計で50分となります。大問1は語彙力が問われる問題が中心なので、テンポよく解き進め、1問あたり30秒程度で解答するのが理想です。ここで時間を節約し、読解と思考に時間のかかる大問2と大問3に時間を重点的に配分するのが賢明な戦略です。
時間管理のコツ
•時計を常に意識する:試験中は腕時計などを使い、各大問の終了目標時刻を意識しながら解き進めましょう。
•迷ったら次へ:1つの問題に固執しすぎず、わからない問題は一旦飛ばして、後で時間が余ったら戻ってくる勇気も必要です。
•解く順番を工夫する:得意な問題から解き始める、あるいは配点の高いライティングから手をつけるなど、自分に合った解き順を見つけるのも有効な戦略です。
大問別解き方のコツ
時間配分をマスターしたら、次は各大問を効率的に解くための具体的なテクニックを身につけましょう。ここでは、長文読解問題である大問2と大問3の攻略法を詳しく解説します。
大問2(長文の語句空所補充)の攻略法
大問2は、2つの説明文の空所に適切な語句を補充する問題です。文脈を正確に把握する力が求められます。
問題の特徴と頻出パターン
•つなぎ言葉(ディスコースマーカー):However, Therefore, For exampleなど、文と文の論理的な関係を示す語句が問われます。
•述部:主語に対応する動詞部分が問われることが多く、時制や主語との一致がポイントになります。
•文脈理解:空所の前後を読み、文全体の流れに合う語句を選ぶ必要があります。
効果的な解き方の手順
1.タイトルと第1段落を読む:まず文章全体のテーマを把握します。
2.空所の前後を重点的に読む:空所を含む一文とその前後の文を注意深く読み、文脈を理解します。
3.選択肢を吟味する:各選択肢を空所に入れてみて、文法的に、そして意味的に最も自然なものを選びます。
4.つなぎ言葉問題の対策:空所の前後の文が「順接」「逆接」「具体例」など、どのような関係にあるかを考えます。例えば、「前の文が原因で、後の文が結果」ならTherefore、「対照的な内容」ならHoweverが適切です。
大問3(長文の内容一致選択)の攻略法
大問3は、Eメールと説明文の内容に関する質問に答える問題です。本文の中から解答の根拠となる部分を素早く見つけ出す情報検索能力が鍵となります。
設問先読みの重要性
長文を読み始める前に、必ず設問に先に目を通しましょう。何が問われているのかを事前に知っておくことで、本文を読む際に、解答の根拠となるキーワードや表現に意識を集中させることができます。これにより、読む目的が明確になり、読解のスピードと正確性が格段に向上します。
Eメール問題の解き方
•差出人、宛先、件名を確認:誰から誰への、何に関するメールなのかを最初に把握します。
•具体的な情報に注目:日時、場所、金額、条件、依頼内容など、具体的な情報が問われることが多いです。これらの情報が出てきたら、線を引くなどしてチェックしておきましょう。
•質問の意図を正確に掴む:What should students do?(学生は何をすべきか?)のように、誰が何をすべきかを問う問題が多いので、主語と行動を正確に捉えましょう。
説明文問題の解き方
•段落ごとに要点を掴む:説明文は、段落ごとにトピックが展開していきます。1つの段落を読み終えるごとに、「この段落では何について述べられていたか」を頭の中で簡単に要約する習慣をつけましょう。
•解答の根拠は本文中にあり:設問の答えは、必ず本文中のどこかに書かれています。自分の知識や推測で判断せず、本文の記述を根拠に解答を選びましょう。
•選択肢の言い換えに注意:正解の選択肢は、本文の表現がそのまま使われているとは限りません。同じ意味の異なる単語や表現(パラフレーズ)に言い換えられていることが多いので、注意が必要です。
長文読解力向上のための勉強法
時間配分や解き方のテクニックも重要ですが、根本的な長文読解力を向上させることが、合格への一番の近道です。ここでは、日々の学習に取り入れたい効果的な勉強法を紹介します。
語彙力強化の方法
長文をスムーズに読むためには、語彙力が不可欠です。知らない単語が多いと、その都度意味を推測しなければならず、時間もかかり、内容の理解も不正確になります。
•単語帳の活用:『英検2級 でる順パス単』(旺文社)などの定番の単語帳を1冊完璧に仕上げましょう。毎日少しずつでも良いので、繰り返し学習することが記憶の定着につながります。
•文脈で覚える:単語を単体で覚えるだけでなく、例文の中でどのように使われるかを確認することが重要です。長文問題で出会った知らない単語は、必ず意味を調べてノートにまとめ、例文ごと覚えるようにしましょう。
読解スピード向上のコツ
限られた時間内に長文を読み解くためには、読むスピードを上げるトレーニングが必要です。
•スラッシュリーディング:英文を意味のかたまり(スラッシュ)で区切りながら、前から後ろへと読んでいく練習です。これにより、返り読みの癖がなくなり、英語の語順のまま理解できるようになります。
•音読:黙読だけでなく、声に出して読むことで、英文をスムーズに処理する能力が向上します。意味を理解しながら、よどみなく読めるようになるまで繰り返し音読しましょう。
多読の重要性
英語の長文に慣れるためには、とにかくたくさんの英文に触れることが大切です。
•過去問・問題集:英検の過去問や市販の問題集は、質・量ともに最適な教材です。時間を計って解き、解きっぱなしにせず、必ず復習しましょう。
•興味のある分野の英文を読む:自分の好きな分野のニュース記事や簡単な洋書など、楽しみながら読める素材を見つけるのも効果的です。BBC Learning EnglishやVOA Learning Englishなどのウェブサイトは、レベル別に記事が分かれており、学習者にとって非常に有用です。
おすすめの参考書・教材
•『英検2級 過去6回全問題集』(旺文社):本番形式の演習に必須の1冊。
•『英検分野別ターゲット英検2級リーディング問題』(旺文社):長文読解に特化して集中的にトレーニングしたい場合におすすめ。
•『大学入試問題集 関正生の英語長文ポラリス』シリーズ:英検2級レベルの読解力を養うのに適した市販の長文問題集。
よくある失敗パターンと対策
ここでは、多くの受験者が陥りがちな失敗パターンと、それを克服するための対策を紹介します。
時間不足になる原因
•大問1に時間をかけすぎる:語彙問題で悩み、時間を浪費してしまうケース。知らない単語は潔く諦め、推測して次に進む勇気を持ちましょう。
•長文を最初から最後まで丁寧に読みすぎる:全文を精読する必要はありません。設問で問われている箇所を重点的に読む「強弱をつけた読み方」を意識しましょう。
正答率が上がらない理由
•設問を読まずに本文を読み始める:何を探すべきか分からず、非効率な読み方になってしまいます。必ず設問を先に読み、目的意識を持って本文を読みましょう。
•選択肢の吟味不足:本文の内容と似ているからといって、安易に選択肢を選んでしまうのは危険です。他の選択肢がなぜ違うのかを検討し、消去法で正解を絞り込む慎重さも必要です。
まとめ
英検2級の長文読解を攻略するためには、戦略的な時間配分と効率的な解き方の両輪が不可欠です。本記事で紹介した時間配分(リーディング50分、ライティング35分)を目安に、大問ごとの解き方のコツを意識しながら、過去問演習を繰り返しましょう。
そして何より大切なのは、語彙力や速読力といった基礎的な読解力を日々の学習で着実に高めていくことです。単語学習や多読を継続し、英語の文章にたくさん触れることで、長文に対する苦手意識は必ず克服できます。
今回ご紹介した内容を参考に、あなた自身に合った学習計画を立て、自信を持って英検2級の合格を勝ち取ってください